メールして1分。風俗街の十三でまさかの21歳保育士女性と出会う

大阪 十三

「十三」という地名を「じゅうそう」と読める人ならば知っているだろう。十三は大阪有数の風俗街だ。

ラブホテルやフーゾク店が至るところにひしめき合っているデリヘル業者の激戦区で、夜に道を歩けば桃色に明滅する電光看板の向こうから漂う、怪しげな空気が嫌でも鼻を突く。

 

夜の10時、僕は仕事で十三に来ていて、これから帰るところだった。

切符を買おうとして、手を止める。どうにも周りのようすがおかしい。人が多すぎる。「阪急京都線は現在運行を見合わせております」の構内アナウンス。

ざわめきのなかで、駅員さんが何かを慌ただしく説明している。

人身事故が発生したのだ。

やっぱり出会い系。メールして1分

困った。足止めを食らったぞ。

この時間に十三で暇を潰すとなると、風俗店しか思いつかない。しばらく思案して、僕はスマートフォンを取り出した。出会い系サイトの「PCMAX」にアクセスする。

サイトの掲示板検索を使い「大阪府:スグ会いたい」で絞り込み検索をかけると、案の定「今から十三で会えませんか?」という投稿がちらほら見つかった。いくつかメッセージを送ってみる。

1分と待たずに返事が届いた。

「ホテル別ゴムありイチロク希望です。157の44のDカップで写メ交換はしてません。よろしくお願いいたします」

まるで暗号文のようなメッセージだが、意訳をすると、

「コンドーム着用のSEXで16,000円いただきます。ラブホテル代も別途払ってください。身長157cmで体重44kg、胸はDカップ。写メ交換はしないので、容姿は会ってからのお楽しみ(あとから文句を言ってキャンセルするのは駄目です)」

となる。(うーん、ビジネスライクな関係でもいいけれど、露骨なデリヘル業者とヤるのも萎えるなぁ……)

やはり十三でふつうの女性と出会うのは難しいか、と諦めかけていたそのとき。別の女性から返信メッセージが届いた。

「今から会うのはいいんですけど、×××(地名)まで来てもらっていいですか。雨でヒールなので、こっちに来てくれたら助かります!」

彼女の提示した場所は、十三駅から歩いて15分ほどのところだ。99%業者かなと思いつつも、素人っぽい文面に興味をそそられた。

プロフィールを確認する。顔写真はない。年齢は、21歳で僕よりも若い! サバを読んでいる可能性は大いにあるものの、会ってみるのは面白そうだ。彼女の名前を香菜(仮名)としておく。

 

目的地に早足で向かっていると、香菜から再びメッセージが届いた。

「私、保育系の学校に通ってて、学費自分で払ってるので、生活困ってます。ホテル行くなら2もらいたいんですけど。やめときますか??」

やめときますか?

おおう、これは援助交際で2万円を取られるパターンか、と気づいて立ち止まる。しかし「やめときますか??」と言われるとかえって会ってみたくなる。

僕は「大丈夫です! ぜひ会いましょう!」と反射的に返信をして、また歩き出した。

 

待ち合わせ場所のコンビニ前。ひとりの女性が暗がりで立って、あたりをキョロキョロしていた。周囲に人はおらず、すぐに彼女であることが分かった。

「香菜さんですか?」

僕の方から声をかけると、香菜は小さく頷いた。

白と花柄のミニワンピで、胸元が大きく露出している。谷間から推測するにDカップはあるのではないか。髪は茶髪でショート。暗いこともあって、顔からは年齢が判別できなかった。自称している21歳にも見えるし、化粧をした30歳にも見える。

まあいいさ、本当の年齢はあとでじっくり確認しよう。

 

彼女と並んで歩く。周辺でラブホテルを探そう、という話になった。ところが入った先のラブホはすべて満室。5店ほどまわったが、空き室のあるところはひとつもなかった。

「えっ、なんで、ありえへん……」

週の真ん中、水曜日の夜にラブホが満室。きっと香菜にとっては不測の事態だったのだろう。慌てる彼女の側で、僕は「なるほど。風が吹けば桶屋が儲かると言うけれど、人身事故が起こるとラブホが儲かるのか」と、不謹慎極まりないことを考えていた。

ラブホに行けないのなら仕方がない。そうして、僕は彼女に提案した。

「いいよいいよ。急なことだし、今日は無しで。その代わりに×××(某ファーストフード店)に行かない? 2はさすがに無理やけど、食事はおごるから」

もとよりこちらの目的は、電車が運行再開するまでの暇つぶし……なのだ。正直、童貞の僕にとって、この先トントン拍子に事が運ぶのは怖すぎる。

ゆっくりで、いい。

 

さて、香菜は夕食がまだだったらしく僕の提案に「しゃーないか。それもええね」と大阪弁で言って、素直に応じてくれた。

以前、出会い系サイトで暗躍しているデリヘル女に取材をしたことがある。

「実際に会ってから、やっぱりホテルに行かないという話の流れになったときはどうしますか?」という僕の質問に女は、

「お金は絶対に取ります」

と言い切ってみせた。

さすがに2万円全額を払ってもらえるケースは少ないが「ここまで来るのにタクシー代がかかったから」「あなたに会うために、大事な用事を抜けてきたから」と相手に詰め寄って、男の財布から取れるだけ取るそうだ。

彼女は援助交際のプロのように振舞っているが、実はそうではないのだろう。本当のプロだったらここは食い下がってでもお金を取りにくるはずだからだ。

テクニックは自信あるし

僕と香菜は、十三駅の近くにあるハンバーガーチェーン店に入った。マクドナルドでもモスバーガーでも良いのだけれど、僕たちはこのあと店内でとんでもない会話をすることになるので、店の価値を毀損(きそん)しないためにあえてボカしておく。

 

夜10時を過ぎていたこともあり、店内は空いていた。2人ともハンバーガーとポテトのセットを頼み、僕が合わせて代金を支払う。四人がけのテーブルに、向い合って座る。ドリンクは香菜がコーラで、僕がアイスミルクティーだった。

香菜はどこからか灰皿を持ってくると「吸ってもいい?」と一言確認を取って、僕が返事もしない間にぷかぷかやりだした。彼女の吐き出すタバコの煙が眼の奥に滲みる。(ずいぶんと男っぽいタバコを吸ってるな)

「香菜さんって誕生日は何月なの?」店員がハンバーガーセットを運んでくるのを待つあいだ、僕は何気ない世間話を装って香菜に聞いた。

「えー、12月やけどなんで?」

僕はフッとほくそ笑む。暇つぶしがてら、香菜の本当の年齢を推理してやろうと思ったのだ。

出会い系サイトの女性のプロフィールを僕は信用していない。以前、「自称20歳の女子大生」からメールを貰って喜んでいたら、じつは「42歳の専業主婦」だと後日発覚したトラウマがある。

どんな姑息な手を使ってでも、実年齢を暴いてやるぞ。奇しくも、香菜の自称する21歳は、僕の従姉妹と同年齢なのだ。21歳について、僕は詳しかった。

「干支は何?」「イノシシやけど」「高校生のときってどんなドラマ見てた?」「うーん、『家政婦のミタ』とか好きやったけど」のように、少々無理やりながら会話のなかにさりげない年齢確認の質問をねじ込んだ。

やがて「えっ、もしかして本当に21歳なの……」と呟くと、香菜は「せやけど」と怒った感じで言った。険悪ムードになりかけたところに、タイミング良く店員さんがやってきた。注文していたハンバーガーとポテト、ドリンクのセットが並べられる。

まさか本当に、出会い系サイトに21歳の女性がいたとは……。僕はあらためて、香菜の姿を観察する。眉毛はアイブロウで細くシャープに描かれている。目はアイシャドウを塗って大人っぽく魅せている。が、化粧そのものは控え目で、顔の形にどこか幼さが残る。

手のひらは、皺のひとつもなく真っ白だ。爪も短く切りそろえられており、綺麗なピンク色をしている。女子高生、いや女子中学生の手だといっても違和感のないほどに小さく、しかしふっくらとしている。とてもタバコは似合わない。

僕は手フェチではないが、香菜の柔らかそうな手に思わず見入ってしまった。あの手でやさしく包み込まれるならば、ひょっとすると2万円以上の価値はあるぞ。ラブホが満室だったのが今となっては悔やまれる。

膨らんできた妄想にぶんぶんと首を振って、アイスティーのストローに口をつける。しかしどうしても香菜の性的事情が気になってきて、いつの間にか口を開いていた。

男「お金もらってホテルに行ったりするのは、いつごろからやってるの?」

女「うーん、サイトに登録してはじめたんは、半年くらい前かなあ」

話によると、彼女はPCMAXのほかにもハッピーメールYYCに登録しているようだ。こういった出会い系サイトの存在は、スマホのアプリ検索で知ったとのこと。最近は「ぎゃるる」という出会いアプリにハマっていて、そのアプリで(お金をくれる)彼氏を探している。PCMAXで出会う男性は、良くも悪くも真面目な人が多くて気に入っている、と香菜は話した。

「やっぱりあまり慣れてない感じだよね。男の人といきなり会うの怖くない?」

香菜はしかし「そうでもないよー」と笑って答えた……のはいいのだが、そのあと、

「だってうち、高校生のとき業者デリヘルで働いてましたもん。テクニックは自信あるし」

刺激的過ぎる内容だった。

心臓の鼓動が一段早くなる。あたりを見回すと、客は入店時よりもまばらになっていた。

男「それ法律的には完全に……」

女「未認可なのは知ってるし」

やれやれ、大変なことを聞いてしまったぞ。ただ、記事にするには面白そうだ、とも思ったのは事実だ。(だから、こうして書いている)

香菜は高校時代、業者デリヘルでお金を稼いでいた。その頃から、ゴムありの本番行為までやっていた。しかし差し引かれる中間マージンが嫌で、数ヶ月と経たずに辞めた。

デリヘルは、客の支払った料金は店とデリヘル嬢が折半というケースが多い。だが、援助交際だったら、客から受け取った金はすべて自分のものになる。

その後、母親の勧め(というよりも半強制的な命令)に従って保育系の専門学校に入り、2年で保育士資格を取得。専門学校を卒業した現在は保育所で働いているが、生活費の充足や奨学金の返済のために再び援助交際を始める。

「保育士の低賃金労働」は社会問題にもなっている。これが援助交際に繋がるのだとしたら、なんとも闇な話だなぁ……とは思ったが、現実のところはどうだろう? 彼女のように結局は、ヤる子はやるし、ヤラない子はやらないのではないか。

「手、綺麗だね」

僕は言った。

「保育士ですから」と香菜は誇らしげな声で、短く切りそろえられた両の手を見せた。

彼女は3歳の頃からピアノを習っていて、ピアノの腕も相当なもの。「絶対音感あるんやで!」と嬉しそうに語る。

小さくしなやかな手が鍵盤の上を踊るようすを想像し、僕は少しだけうっとりとした。

ただ会うだけでその人、4万円もくれはるんやで

女は男が思っているよりも性をお金に変えることに躊躇しない。

最近は援助交際で、やたらと羽振りが良い上客と出会えたらしい。香菜は”副業”をやめるつもりはないと言った。「ただ会うだけでその人、4万円もくれはるんやで。めっちゃ優しいやん」と自慢気に話す香菜は、援助交際によって自己を肯定しているようにも思えた。

香菜は、自分では援助交際のプロを自負しているようだが、僕からみてもあまりに知らなさ過ぎる印象を受けた。

「契約書に書いてあったから仕方ないやん」と言っていたが、香菜は業者デリヘルを辞める際に違約金を取られたらしい。辞職の際に違約金が発生することの異常性を彼女は認めたがらなかった。

それに、香菜の話のなかには、彼女の出身地や現住所を示唆するキーワードがやたらと出てきて、「うち◯◯高校やから、修学旅行先は沖縄で……」みたいな個人情報をぺらぺらと話すのだ。

それを「うん、うん」と相槌を打つ。おそらくこれは僕だけにしていることではない。

東電OL事件が世間を賑わせたのが、今から19年前の春のことだ。

もしも目の前の男がシリアルキラーだったら? 僕は目の前の乾いたハンバーガーにかぶりつく。

 

4本目のタバコに火をつけようとしていた。腕時計を見ると、深夜11時が近かった。会話は尻すぼみとなり、彼女はあからさまにつまらなさそうな態度を取りはじめた。

きっと嫌われたのだ。会話の途中で、本来は他人事であることに対して首を突っ込み過ぎたのかもしれない。

具体的には、「あんま男を信用せん方がええで。もっと用心すべきやで」と何度か言った。それは今思えば間違いなく、香菜の癪(しゃく)に障るものだったはずだ。

 

この子は途中までは間違いなく、僕に興味を抱いてくれていた。だけどその後の行動のしょっぱさのせいで、その子の期待をすっかり裏切ってしまった。

なんとか自分のペースを取り戻そうとしたが、そもそも僕という人間がコミュ障で童貞なものだからうまくいくわけがない。”取材”という言い訳を自分から取り去り、いざ目の前の女という生き物と一対一で対峙した途端に、本来の”ダメな僕”が出てしまう。

当初の僕は、「最初に仲良くなっておけば、今日は無理でも帰ってから何度か連絡を取りあって、いい感じのタイミングでまた会って。その時は他人ではない関係だからもしかしたらお金をかけずに関係を持てるかもしれない……」なんてことを本気で考えている、ご都合主義のおめでた野郎だったわけだ。

 

別れ際、香菜は「うち、来月に沖縄に引っ越すから。もう会えへんね」と言った。

沖縄に引越し先なんてないくせに。僕は素知らぬ顔で「そうですか」と言って、彼女にさよならを言う。

「あなたとはもう会わへん」香菜の目ははっきりとそう告げていた。香菜に背を向けて、振り返らずに駅へと向かった。

それにしても壁を乗り越えて他人とつながり、さらにその先までというのはほんとうに難しい。

 

阪急十三駅に着くと、電車は運転を再開していて、まるで何事もなかったかのように改札口を人々が抜けていく。人身事故の影響で電車が遅れるアナウンス。

プラットフォームで、くたびれたスーツの男性が舌打ちをした。

(取材/文 taku_morisawa)

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投稿者プロフィール

1993年生まれ。兵庫県在住の小説家、ときどき無名のネットライター。
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